中東情勢の影響による事業縮小の場合雇用調整助成金が活用できます

中東情勢の影響による事業縮小の場合雇用調整助成金が活用できます
2026.06.04

中東情勢の影響による事業縮小の場合雇用調整助成金が活用できます

 雇用保険法第62条第1項第1号により、国は「景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた場合において、労働者を休業させる事業主その他労働者の雇用の安定を図るために必要な措置を講ずる事業主に対して、必要な助成及び援助を行う」こととされており、施行規則にて「雇用調整助成金」を事業としています。

 現在、中東情勢の影響により、原材料の入手や物価高騰によって生産量等が減少し、事業を縮小せざるをえない事業所などがあるようです。
 これに対し、厚生労働省は、従業員の雇用を維持するために措置を講じた事業所にたいして雇用調整助成金を活用できると案内しています(厚生労働省『雇用調整助成金リーフレット』)。
 今回は、雇用調整助成金についてご紹介します。

雇用調整助成金の対象

雇用調整助成金を受ける対象となるのは、つぎの要件すべてに該当する事業所です。

  • 雇用保険が適用されている
  • 最近3か月間の生産指標(生産量や販売量、売上高など)の月平均値が前年同期にくらべて10%以上減少している
    ※ 前年同期も雇用保険が適用されていた場合のみ
  • 最近3か月間の雇用保険の被保険者・派遣労働者の数の月平均値が前年同期にくらべて5%を超え、6名以上増加(中小企業の場合は、10%を超え、4名以上増加)していない
  • 雇用調整のため、労使協定にもとづく「休業」「出向」「教育訓練」といった措置を講じた
    ※ 労働組合や、労働者の過半数を代表する代表者と協定していること

 雇用調整助成金は、雇用保険の被保険者である従業員が休業や教育訓練の実施をうけた日数におうじて支給されます。
 ただし、その事業所で雇用されているあいだの被保険者期間が6か月未満の従業員や退職を申し出ている従業員、解雇予告された従業員(退職翌日から安定した職業に就くひとを除く)、高年齢被保険者となった従業員、日雇労働被保険者は支給の対象に含まれませんので注意しましょう。

 なお、雇用調整にかかる「休業」「教育訓練」は、つぎの状態を示します。

  • 休業
    従業員本人に働く意思や能力があるにもかかわらず、所定労働日に終日もしくは1時間以上働くことができない状態
  • 教育訓練
    職業に関する知識や技能、技術を習得させたり、向上させることを目的とする教育、訓練、公衆であって、所定労働時間内において2時間以上実施されるもの
    ※ 令和6年4月以降、休業よりも教育訓練による雇用調整を選択しやすくなるよう、助成の見直しがありました。

助成の内容はつぎのとおりです。

  • 休業にかかる賃金の2分の1(中小企業は3分の2)もしくは基本手当の最高額が支給されます。
    ※ 休業手当は平均賃金の6割以上である必要があります。
  • 教育訓練を実施した場合は、実施した日数に1,200円を乗じた金額が加算されます。

 雇用調整助成金の支給を受けるためには、まず、所轄の労働局に「休業等実施計画書」を届け出たうえで、雇用調整の実施を行わなければいけません。
 なお「休業等実施計画書」とあわせてつぎの書類の提出が必要です。

  • 「雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書」
  • 「雇用調整実施事業所の雇用指標の状況に関する申出書」
  • 「教育訓練計画一覧表」
  • 労使間で締結した協定書(「休業協定書」「教育訓練協定書」「出向協定書」)
    労働組合があるときは組合員名簿など、ないときは労働者代表選任書など
  • 事業所の概況および中小企業に該当するか確認できる書類
    会社案内パンフレットや法人税確定申告書など、労働者名簿など
  • 生産指標が確認できる書類
    最近3か月および前年同期3か月分の月次損益計算書や総勘定元帳、生産月報など
  • 最近3か月および前年同期3か月分の派遣先管理台帳
  • 所定労働日や賃金締切日が確認できる就業規則や給与規定、シフト表など
  • 教育訓練の内容を確認できる書類
    通常実施している教育訓練の内容を確認できる就業規則など

 支給の対象となる期間(対象期間)は、休業・教育訓練の場合は実施の初日から1年間もしくは賃金締切日の翌日から1年間となります。

 支給対象期間(1つの判定基礎期間または、2つか3つの連続する判定基礎期間)ごとに、休業など初日の前日までに届け出なければいけません。
※ 判定基礎期間とは、賃金締切日の翌日からの1か月間をいいます。ただし、対象期間の初日が判定基礎期間の中途にある場合は、判定基礎期間内の対象期間の初日以後の期間とこの期間後1か月間とを通算した期間をいい、対象期間の末日が判定基礎期間の中途にある場合は、当該判定基礎期間内の対象期間の末日以前の期間とこの期間前1か月間とを通算した期間をいいます。

 計画を実施したあとは、助成金の申請を行います。
 所轄の労働局に「雇用調整助成金休業等実施計画(変更)届」を提出もしくは電子申請します。

事業主の指定する支給対象期間ごとに、支給対象期間の末日の翌日から2か月以内に申請しないといけません。
※ 支給申請にかかる休業手当や賃金の支払日以降でないと申請できません。

 申請にあたって、自然現象や季節的変動、災害や事故による生産指標の減少は、助成の要件である“経済上の理由”に該当しませんが、第三者による被害(恐喝や風評被害、横領などによる損失)の場合は、「事業活動の状況に関する申出書」などにより“経済上の理由”にあたる場合があります。

 また、対象期間内において、休業などの日数を判定基礎期間に含まれる末日時点の対象従業員数で除した日数の累計が100日に達するまで支給されます。

事業の縮小による雇用関係のご相談や助成金についてのお悩みは、ぜひ社会保険労務士までご相談ください!

2026.06.04