令和10年4月から全事業所でストレスチェックが義務化されます

令和十年4月から全事業所でストレスチェックが義務化されます
2026.05.20

令和10年4月から全事業所でストレスチェックが義務化されます

 平成27年12月1日以降、従業員が50人以上いる事業所ではストレスチェックを実施することが義務となっています。
 一方、従業員が50人未満の事業所でストレスチェックを実施することは努力義務にとどまっていましたが、令和7年5月の改正労働安全衛生法により、すべての事業所での実施が義務化になると決定されました。
 そして先日、厚生労働省が令和10年4月から義務化する方針を明らかにしたと報道がありました。

ストレスチェックとは?

 労働安全衛生法では「心理的な負担の程度を把握するための検査等」と称され、労働者自身のストレスへの気づきをうながすとともにストレスの原因となる職場環境の改善につなげることで、労働者のメンタルヘルス不調の未然防止となる一次予防を主な目的としたものです。

 法定のストレスチェックは、調査票を用いて「職場のストレス要因」「心身のストレス反応」「周囲のサポート」の3つの領域に関する項目により検査を行い、ストレスの程度を点数化するものとされています。
※ 57項目で構成される「職業性ストレス簡易調査票」を使用することがのぞましいとされています。

ストレスチェックの実施にあたって

 ストレスチェックを実施するにあたって、つぎの事項が定められています。

  • 検査の対象となるのは
    無期雇用の従業員
    1年以上雇用される予定のある従業員もしくは1年以上雇用されている従業員
    その事業所の同種の業務に従事する通常の労働者の週の所定労働時間数の4分の3以上である従業員
    ※ 検査の実施期間中に長期出張などで不在の従業員には別の機会を設ける
    ※ 長期病休中の従業員には実施しなくてもよい
  • 事業所は、衛生委員会などにストレスチェック制度の実施に関する調査審議を行わせたのち、実施にかんする規程を定め、従業員に周知する
    内部規程の参考例⇒厚生労働省ホームページ『社内規程例』。なお、就業規則に該当するものではないので労働基準監督署への提出は不要
  • 1年以内に1回実施する違反した事業者は罰則の対象となる)
    一定規模の集団ごとに集計・分析できるよう、その単位となる集団は同じ時期に一斉実施したほうがよい
  • 医師、保健師、厚生労働省が定めるものを修了した看護師または精神保健福祉士が実施者となる
    ストレスチェックの結果は厳重なプライバシーであるため、外部機関による実施が推奨されている
  • 事業所は、実施者と連絡調整や契約などを行う実務担当者を指名する
    解雇や昇進・異動にかんする人事権を持つ立場のひとは、産業医などであっても実施者になれないが、実施のストレスチェック結果にかんする個人情報を取り扱わない(計画や日程調整・従業員への周知、調査票の配布など)実務担当者になることは可能。受検しない従業員への勧奨も可能
    人事課などに所属していても直接的な人事権がない職員であれば実務担当者になれる
  • ストレスチェックでの結果は従業員本人のみに通知
    従業員本人の同意なしに事業所が知ったり、結果をもとに不当な扱いをすることは禁止
    ※ 結果の書面については、従業員本人宛てに郵送・メールでも、封かんして配布することも可能
    医師などから従業員の検査の結果を提供された事業者は、厳重な方法で5年間保存しなければいけない
    ※ 特定されることを防ぐため、集計・分析の単位が10人を下回るときは、提供時に必ず従業員全員の同意が必要
  • ストレスチェックの結果から高ストレス者を選定し、医師による面接指導の要否を確認
    面接指導を申し出ない従業員には、検査をした医師などから申出の勧奨を行うことがのぞましい
    従業員のストレス緩和のため、事業所は産業医や保健師などに相談しやすい体制を整えておく
  • 医師による面接指導の結果、従業員にたいし就業上の措置が必要となったときはすみやかに対応する
    従業員にとって不利益な取り扱いとなりえる措置(就業場所の変更や労働時間の短縮など)をとる必要があるときは、プライバシーに配慮しながら従業員と十分な話し合いをつうじて了解を得られるよう努める

 事業所は毎年、ストレスチェックを行ったことを所轄の労働基準監督署に報告しなければなりません(年に複数回実施している場合は、そのうち1回分のみの報告でよい)。
 なお、実施できなかったときは「心理的な負担の程度を把握するための検査結果報告書(様式第6号の2)」を提出する必要があります。提出が無いと罰則の対象となります。
※ 現時点で、実施が努力義務である50人未満の事業所では実施報告は必須となっていません。
※ 健康診断とは異なり、事業所が指定した実施者以外のもとでストレスチェックを受けたときは、法令で示されたストレスチェックを受けたことにならないので注意しましょう。

 現在、従業員が50人未満の事業所での実施は努力義務につき、ストレスチェックや面接指導にかかる費用にたいして労働者健康安全機構が助成を行っていますが、実施が義務となっている50人以上の事業所では、事業者が費用を負担することになっています。
 また、従業員がストレスチェックを受検する際の賃金について有給となるかどうかは、一般検診と同じ扱いとなり、労使間で協議するよう示されています。

 また、現在、従業員が50人未満の事業所におけるストレスチェック後の医師による面接指導については、地域産業保健センターに依頼することで無料で実施することが可能となっています。

 メンタルの不調が原因で離職する労働者が増加しているなか、ストレスチェックの導入によって、従業員のメンタルヘルス不調の防止を図り、雇用環境の改善が目指されています。
 メンタルヘルスにかんする情報は、従業員とってデリケートな事柄のため、厳重なプライバシー保護が必要とされるほか、慎重に問題の対策に取り組まなければいけません。
 ストレスチェック制度の導入にともない、どのような対応をしなければいけないのかなど、労働安全衛生についてご不明な事業主の方はぜひ社会保険労務士までご相談ください。

2026.05.20