まもなく住民税の年度更新がはじまります

まもなく住民税の年度更新がはじまります
2026.05.19

まもなく住民税の年度更新がはじまります

住民税の年度更新がはじまります

 5月中旬頃より、従業員の住民税「特別徴収額決定通知書」が会社や事業主宛てに送付されます。
 会社は、通知書(納税義務者用)を従業員に配布して新年度の住民税の額を知らせるとともに、6月から翌年5月にかけて従業員の給与から毎月定められた住民税額を天引きし、各市町村に納めなければいけません。

 住民税は、道府県民税と市町村民税(東京都は都民税・区市町村民税)で構成されています。

  • 住民税は前年(1月から12月)中の所得におうじて決定されます。
    (例)令和8年度の住民税は、令和7年1月1日から令和7年12月31日までの所得にもとづいて計算されます。
  • 今年1月1日に住民票をおいていた市区町村で課税されます。
    ※ 住民票をおいている場所でない住所を居住地として申告していた場合、住登外課税となる可能性があります。
    ※ 海外にいたときでも、滞在期間や固定資産の所有状況などにより課税される可能性があります。

 前年の所得や、障がい・ひとり親、災害などの条件により、住民税が課税されない(非課税)場合もあります。

 地方税法第321条の4により、会社は、従業員のかわりに住民税を納付するため、給与から天引きする「特別徴収」を行わなければいけません。
 6月から翌年5月まで、特別徴収額決定通知書に示された特別徴収額を毎月の給与から控除し、各月の翌月10日までに各市町村に納付します。
 そのため、特別徴収額の年額を12回にわけて徴収するかたちになります。金額によって均等に期割されず端数が生じることもあり、特に、初回の6月だけ徴収額が異なっていることもあるので、給与計算をするときや給与計算システムに登録するときは注意が必要です。
※ 給与を支払う従業員の数が常時10人未満である会社などは、市町村への申請により、従業員から天引きした住民税の納付を年2回にわける「納期の特例」制度を適用することができますが、従業員の給与からの天引きは毎月行わなければいけません。

 直近の中途入社などで「給与所得者異動届出書」の提出が無い従業員や、副業があり個人で確定申告をした際に普通徴収を選択した従業員などは特別徴収ができず、従業員本人が納付しなければいけません(従業員本人に住民税額決定通知書が届き、納付書や口座振替で納付します)。
 従業員本人から特別徴収への変更の希望があったときは、「特別徴収への切替申出書」を市町村へ提出しましょう。

住民税にまつわる医療福祉のコラム

 住民税の年度更新にともない、利用している公的な医療制度・サービスに手続きが必要となる場合があります。
 今回は、その一部をご紹介します。

  • 国民健康保険料、後期高齢者医療保険料
     国民健康保険料や後期高齢者医療保険料は住民税と同じく、前年中の所得によって決定されます(令和8年度の保険料は令和8年4月から令和9年3月分までです。令和7年1月1日から令和7年12月31日の所得で計算されます)。
     原則、住民税の計算に用いられた所得情報にもとづいて計算されますが、収入が無かったひとは、給与や年金をもらっていたひと、確定申告をしたひとと異なり、収入・所得の情報が市区町村(保険者)に届くことがないため、確実な収入額の判別ができず、保険料の軽減をうけることができないおそれがあります。障害年金や遺族年金、傷病手当などの非課税となる収入も、同様に収入・所得の情報が無いとみなされます。
     そのため、昨年中に無収入だったひと・非課税の収入のみだったひとは、加入している市区町村(保険者)に簡易申告書を提出するか、住民税の申告を行う必要がある場合があります。
    ※ 世帯主および世帯内の同じ保険に加入しているひとの所得の合計額が、法令で定められた所得基準以下であれば、保険料の一部が軽減されます。
    ※ 税扶養上の被扶養者や年少者は、申告が不要な場合があります。
  • 健康保険の自己負担限度額
     国民健康保険、後期高齢者医療制度をはじめ、健康保険での高額療養費制度を利用するにあたって、無収入で住民税が非課税となるひとでも、保険料と同様に収入・所得の情報が無いため、自己負担区分が非課税世帯と判定されないおそれがあります。
     国民健康保険、後期高齢者医療に加入しているひとは市区町村(保険者)に簡易申告書もしくは住民税申告書を提出し、健康保険に加入しているひとは、市区町村の住民税担当課にて住民税申告を行いましょう(住民税申告は不要な方ですと言われることがあるかもしれませんが、高額療養費の判定に必要なことを伝えるとよいでしょう)。
  • 福祉医療制度、公費医療制度
     ひとり親医療や障がい医療など所得制限のある制度を受給しているとき、自治体によっては毎年所得状況を見直すため、先述した収入・所得の情報が無いときは、新しい受給者証の送付が間に合わない可能性があります。また、特定医療費(指定難病)なども、住民税の課税状況や課税額によって自己負担額が決まるため、住民税申告が必要な場合があります。
     手続きや申告が必要なときは案内が来ることが多いですが、念のため広報やホームページを参照しましょう。
  •  現在、所得制限がある制度でも、個人番号を利用した情報連携によって住民税情報を照会できる制度や自治体が多くなっています。
     しかし、無収入や非課税収入のみの場合は、自身で申告しないかぎり、収入・所得の情報が無いまま反映されるため、特に転入などで制度を申請するときは、前の市区町村で申告をする必要が生じる可能性があります。
  •  課税証明書や非課税証明書の提出が必要なとき、非課税である(=申告が不要なため納税する額が無い)と証明できても、収入額によって自己負担額が決まる制度(70歳以上の自己負担限度額など)では、正しい区分判定がされないおそれがあります。
     証明書の発行には手数料がかかるため、必要な情報が記載されるか確認のうえ、発行を依頼しましょう。

 今回は、住民税の年度更新や住民税にまつわる制度についてご紹介しました。
 住民税の特別徴収は法律で定められており、これを怠ったり拒否した場合は督促状が送付されたり、滞納処分を受けることになります。また、納税義務者である従業員が滞納しているかたちになってしまいますので、注意してください。
 新年度の労働保険料や住民税の年度更新がはじまる前に、あらかじめ給与計算にかんするスケジュールを確認してみてはいかがでしょうか。

  • 労務や社会保険についてご不明な点がある事業主の方は、ぜひ社会保険労務士までご相談ください!
    ※ 税金自体の計算や申告などのご相談は対応しかねますのでご容赦ください。


 


 

2026.05.19