労災保険の特別加入について ②一人親方など自営業者のひと

労災保険の特別加入について ②一人親方など自営業のひと
2026.06.16

労災保険の特別加入について ②一人親方など自営業者のひと

 前回『労災保険の特別加入について ①中小事業主のひと』にて、労働者という立場ではない中小事業主のひとも、要件を満たせば労災保険に特別加入できることをご説明しました。
 特別加入ができる中小事業主は、労働者を使用し、労災保険関係が成立している必要があることもご説明しましたが、労働者を使用しない一人親方や省令に定められた事業を行う自営業者も、特別加入の対象となります。
 今回は、特別加入の対象となる一人親方など自営業者のひと(第二種特別加入)について説明いたします。
※ 労働者を使用していても、使用する日の合計が一年間のうち100日を満たないひとは特別加入の対象になります。

特別加入の範囲となる事業やひと

  • 自動車で旅客や貨物の運送を行う事業や、原付や自転車で貨物の運送を行う事業
    (個人タクシー業者や個人貨物運送業者)
  • 土木や建設業の一人親方
  • 漁船による自営漁業者
  • 林業の一人親方
  • 医薬品の配置販売の事業
  • 再生資源取扱業者
  • 船員法第1条に規定する船員が行う事業
  • 柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師
  • 歯科技工士
  • 創業支援等措置にもとづく事業を行う高年齢者
  • 特定農作業従事者、指定農業機械作業従事者
  • 職場適応訓練従事者、事業主団体等委託訓練従事者
  • 金属などの加工、洋食器加工作業
  • 履物などの加工の作業
  • 陶磁器製造の作業
  • 動力機械による作業
  • 仏壇、食器の加工の作業
  • 労働組合等常勤役員
  • 介護作業従事者・家事支援従事者
  • 芸能関係作業従事者
  • アニメーション制作作業従事者
  • 情報処理システムの設計などの情報処理にかかる作業従事者
  • 家内労働者など
  • 特定フリーランス事業
    営業、講師・インストラクター、デザイン・コンテンツ制作、調査・研究・コンサルティング、翻訳・通訳、データ・文書入力など

 一人親方など自営業者のひとが労災保険に特別加入するためには、特別加入団体の構成員になる必要があります。
 すでに特別加入を承認されている特別加入団体(厚生労働省ホームページ『特別加入団体一覧表』で確認することができます。)に申し込み、特別加入団体が手続きを行うか、あらたに特別加入団体を設けて手続きを行います。
 新たに特別加入団体を設けるときは、①相当数の一人親方などを構成員とすること ②法人である必要はないが、組織や運営方法を整備すること ③確実な労働保険事務の処理が可能であるとわかる事業内容を規定すること ④労働保険事務を確実に処理できる能力があると認められる事務体制や財務内容をおくこと ⑤事務所の所在地がある都道府県やその近接区域を超えない地区に団体をおくこと が必要となります。そのうえで、所轄の労働基準監督署に「特別加入申請書」を提出もしくは電子申請します。

 なお、中小事業主のひと同様、過去につぎの業務に従事した期間があるひとは、特別加入の申請に際して加入時健康診断を受診する必要があります。

  • 粉じん作業を行う業務に3年以上従事したひと(じん肺健康診断)
  • 振動工具使用の業務に1年以上従事したひと(振動障害健康診断)
  • 鉛業務に6か月以上従事したひと(鉛中毒健康診断)
  • 有機溶剤業務に6か月以上従事したひと(有機溶剤中毒健康診断)

 上記に加入するひとは、特別加入団体をつうじて「特別加入時健康診断申出書」を所轄の労働基準監督署に提出します。加入時健康診断の受診が必要であると判断された場合は、労働基準監督署より指示書と実施依頼書が交付されますので、指示書に記載された期間内に診断実施機関で受診します。
※ すでに疾病にかかっていると判断されたときは特別加入が認められない場合があります。

 労災保険料は、給付基礎日額に365を乗じた保険料算定基礎額に事業ごとの保険料率を乗じて計算されます。
※ メリット制(過去の業務災害発生状況におうじて保険料率を増減させる制度)は適用されません。

 特別加入した一人親方など自営業のひとは、労働者と同様の給付を受けることができますが、個人タクシー業者や個人貨物運送業者、漁船による自営漁業者は通勤災害の保護の対象となりませんのでご注意ください。

 

特定加入団体など加入者の手続きについてご不明な点がある方は、ぜひ社会保険労務士までご相談ください。


 


 

2026.06.16