雇用継続給付について

雇用継続給付について
2026.04.01

雇用継続給付について

雇用継続給付について

 雇用保険の制度において、労働者が継続して働くことを支援する給付金があります。

 60歳を超えても働くひとへの「高年齢雇用継続給付」。

 家族を介護するため、しかたなく休業するひとへの「介護休業給付」。

 これらの“雇用継続給付”のほかに、子育て世帯の生活を支援する「育児休業給付」があります。

 従業員の雇用をつづけられるよう、会社はその給付のための手続きをしなければなりません(従業員本人の希望による本人申請を除く)。

 それでは、給付の内容や手続きについて紹介します。

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介護休業や育児休業を取得するひとは、事前に会社に申し出る必要があります。

高年齢雇用継続給付

 60歳以上65歳未満の雇用保険被保険者(短期雇用被保険者・日雇労働被保険者を除く)で、被保険者であった期間が5年以上あるひとは、条件により、支給対象月について給付をうけることができます。
※ 離職から再就職までのあいだが1年以内で、ほかの手当を受給していなければ、離職前の被保険者期間を通算することができます。
※ 支給対象月の初日から末日まで被保険者でないと、支給の対象になりません。

 高年齢雇用継続給付には「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」があります。

高年齢雇用継続基本給付金

 60歳を超えてもひきつづき雇用されるひとで、つぎの要件にあてはまれば、「高年齢雇用継続基本給付金」をうけることができます。

  • 失業による基本手当などを受給していない
  • 60歳以降の賃金(みなし賃金)が、60歳時点の賃金の75%未満になる
    ※ みなし賃金・・・賃金が低下した理由が、懲戒処分による減給、傷病や出産、介護などによる欠勤控除、事業所の休業であれば、減額された額も支払われたものとして計算されます。

 支給の対象となる期間は、65歳に達する月までです。

支給額について(令和8年3月時点)

 支給対象月に支払われた賃金額の低下率に応じて計算されます。

  • 低下率(%)は、①支給対象月の賃金額を賃金月額(60歳に達する前もしくは60歳到達後に受給資格が発生した前の6か月の平均賃金)で割った数に、②100を乗じたものです。
    例)賃金月額が30万円のひとが、支給対象月の賃金が15万円であったときの低下率
      ①15万円÷30万円=0.5 ②0.5×100=50 ⇒低下率は50%です。

 低下率が64%以下であれば、支給対象月の賃金額の10%が支給額になります。
 低下率が64%を超えていれば、110分のー64×支給対象月の賃金額+110分の48×賃金月額になります(厚生労働省ホームページに早見表が掲載されていることがあります)。

例)賃金月額が30万円のひとが、支給対象月の賃金が15万円であったときの支給額
  低下率が50%なので、支給額は15万円×10=1.5万円となります。

例)賃金月額が30万円のひとが、支給対象月の賃金が22万円であったときの支給額

  低下率が73.34%なので、支給額がつぎのとおりになります。

  (-64÷110)×22万円+(48÷110)×30万円=2,909円

※ 支給額には限度があります。限度額が386,922円となっており、対象月の賃金額と支給額の合計が386,922円を超えるときは、386,922円と賃金額の差額が支給額となります。

※ 支給額が2,411円を超えないときは、支給がありません。

高年齢再就職給付金

 60歳になったあとに1年以上安定した職業に再就職したひとで、つぎの要件にあてはまれば、「高年齢再就職給付金」をうけることができます。

  • 失業による基本手当を受給しており、その算定基礎期間が5年以上ある
  • 基本手当の支給の残日数が100日以上ある状態で再就職し、再就職手当を受けていない
  • 再就職後の各月の賃金が、基本手当の基準となった賃金日額を30倍した額の75%未満になる

 支給の対象となる期間は、65歳に達する月もしくは、基本手当の支給の残日数が200日以上あれば再就職の翌日から2年経った月まで、200日未満であれば再就職の翌日から1年経った月までです。

 支給額については、高年齢雇用継続基本給付金の算出方法を準用しています。

 なお、再就職手当と併用して受給することができませんので、注意してください。

高年齢雇用継続給付の手続きについて

 高年齢雇用継続給付をうけるためには、申請が必要です。
 会社(もしくは従業員本人)が、最初の支給対象月の初日から起算して4か月以内に、つぎの書類を公共事業安定所に提出もしくは電子申請しないといけません。

  • 高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書(様式第33号の3)」
  • 労働者名簿
  • 賃金台帳など
  • 申請する従業員の本人確認ができるものの写し
  • 高年齢雇用継続基本給付金の場合は、「雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書(安定所提出用)(様式第33号の4)」
「高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書」の記入例です。ハローワークインターネットサービス(https://hoken.hellowork.mhlw.go.jp/static/konenrei_first.html)の様式を加工して作成しました。
「高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書」の記入例です。ハローワークインターネットサービス(https://hoken.hellowork.mhlw.go.jp/static/konenrei_first.html)の様式を加工して作成しました。

 なお、2か月ごとに申請する必要があります。2回目以降の申請については、公共職業安定所に指定された期間内に申請しないといけません。

介護休業給付

介護休業給付について

 介護休業を開始した日前2年間に、被保険者であった期間が12か月あるひとは、条件により、対象の家族について最大93日(3回まで)の介護休業給付金をうけることができます。
※ 被保険者であった期間とは、賃金の支払い対象となった日数が11日以上あった月を数えます。疾病や傷病などが理由で賃金の支払いが無かった日は、日数に含むことができる可能性があります。
※ 有期雇用されているひとは、介護休業の開始予定日から起算して93日を経過する日から6か月を経過するまでに、その労働契約が満了しないことが明らかでないといけません。

  • 対象の家族とは
    従業員本人の配偶者(事実婚関係と同様の事情にあるひとを含む)、父母(養父母を含む)、(養子を含む)、祖父母兄弟姉妹配偶者の父母

 対象の家族が、傷病や身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上にわたって常時介護(歩行、排せつ、食事などの日常生活に必要な便宜を供与すること)が必要な状態で、その介護のために休業する期間の初日と末日を会社に申し出たうえで、実際に休業した日数にたいし、介護休業給付金が支給されます。

支給額について

 支給額の計算方法は、休業開始時賃金日額×支給日数×67%です。
 休業開始時日額は、休業の開始日前6か月間の賃金を180で割った金額です。
 支給日数は、休業の開始日から1か月に区切った期間を支給単位期間といい、この支給単位期間に定められた日数です。休業を終了した日の属する支給対象期間以外は、30日です。

 なお、支給単位期間に賃金の支払いがあった日については、計算方法が異なります。賃金額が、支給額の13%以下のときは、通常の計算方法と同様になりますが、13%から79%以上のときは、支給額の80%から支払われた賃金額を差し引くことになります。80%以上のときは、支給の対象になりません。

 介護休業給付をうけるためには、申請が必要です。
 会社(もしくは従業員本人)が、最初の支給対象月の初日から起算して4か月以内に、つぎの書類を公共事業安定所に提出もしくは電子申請しないといけません。

  • 介護休業給付金支給申請書(様式第33号の6)」
  • 介護休業申出書
  • 対象の家族の氏名などや、従業員本人との続柄がわかるもの(住民票の写しなど)
    ※ 対象の家族と従業員本人が同じ世帯で、マイナンバーを届け出ているときは不要です。
  • 休業の開始日や終業日、休業した日数が確認できるもの(出勤簿など)
  • 支給対象期間の賃金が確認できるもの(賃金台帳など)
  • 従業員本人が申請するときは、会社が発行する「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」と介護休業取扱通知書
  • 有期雇用されているひとは、雇用継続の予定を証明できる書類
「介護休業給付金支給申請書」の記入例です。ハローワークインターネットサービス(https://hoken.hellowork.mhlw.go.jp/static/kaigo_kyugyo.html)の様式を加工して作成しました。
「介護休業給付金支給申請書」の記入例です。ハローワークインターネットサービス(https://hoken.hellowork.mhlw.go.jp/static/kaigo_kyugyo.html)の様式を加工して作成しました。

育児休業給付

 育児のために休業したとき、時短で働いたときに「育児休業給付」をうけます。
 ※ 有期雇用されているひとは、子の出生日から8週間を経過する日の翌日から6か月を経過するまでに、その労働契約が満了しないことが明らかでないといけません。

 育児休業給付には「育児休業給付金」「出生時休業支援給付金」と「出生後休業支援給付金」と「育児時短就業給付金」があります。

育児休業給付金

 1歳未満の子の育児のため休業を開始した日前2年間に、被保険者であった期間が12か月あるひとで、条件により、最大2回までの育児休業給付金をうけることができます。産後休業していたひとは、出産日から58日目から開始となります。
※ 被保険者であった期間とは、賃金の支払い対象となった日数が11日以上あった月を数えます。疾病や傷病などが理由で賃金の支払いが無かった日は、日数に含むことができる可能性があります。
※ 休業の開始日から1か月ごとの期間(支給単位期間)に10日を超えて働いたとき、もしくは80時間を超えて働いたときは、支給の対象になりません。
※ 従業員本人と配偶者がともに休業するパパ・ママ育休プラス制度を利用するときは1歳2か月、保育所での保育の実施ができないときは1歳6か月もしくは2歳に達する日前の子であるときも対象です。

支給額について

 支給額の計算方法は、休業開始時賃金日額×支給日数×50%です。
 休業開始時日額は、休業の開始日前6か月間の賃金を180で割った金額です。
 支給日数は、支給単位期間に定められた日数です。休業を終了した日の属する支給対象期間以外は、30日です。

 なお、初回の育児休業の開始日から起算して、通算の休業日数が180日に達するまでのあいだは、50%ではなく67%を乗じた金額になります。
 また、支給単位期間に賃金の支払いがあった日については、計算方法が異なります。賃金額が、支給額の13%以下のときは、通常の計算方法と同様になりますが、13%から79%以上のときは、支給額の80%から支払われた賃金額を差し引くことになります。80%以上のときは、支給の対象になりません。

出生時育児休業給付金

 子の出生日もしくは出産予定日のいずれか早い日から、子の出生日もしくは出産予定日のいずれか遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日までのあいだに、4週間以内の出生時育児休業(産後パパ育休)を取得し、休業を開始した日前2年間に、被保険者であった期間が12か月あるひとで、条件により、最大2回までの出生時育児休業給付金をうけることができます。
※ 被保険者であった期間とは、賃金の支払い対象となった日数が11日以上あった月を数えます。疾病や傷病などが理由で賃金の支払いが無かった日は、日数に含むことができる可能性があります。
※ 休業の開始日から1か月ごとの期間(支給単位期間)に10日を超えて働いたとき、もしくは80時間を超えて働いたときは、支給の対象になりません。

支給額について

 支給額の計算方法は、休業開始時賃金日額×支給日数×67%です。
 休業開始時日額は、休業の開始日前6か月間の賃金を180で割った金額です。
 支給日数は、最大28日です。

 なお、支給単位期間に賃金の支払いがあった日については、計算方法が異なります。賃金額が、支給額の13%以下のときは、通常の計算方法と同様になりますが、13%から79%以上のときは、支給額の80%から支払われた賃金額を差し引くことになります。80%以上のときは、支給の対象になりません。

出生後休業支援給付金

 出生時育児休業給付金または育児休業給付金をうけている従業員本人と配偶者がともに、通算して14日以上の育児休業を取得し、休業を開始した日前2年間に被保険者であった期間が12か月あるひとで、条件により、最大28日間の出生後育児休業給付金をうけることができます。
※ 配偶者がいない場合や働いていない場合でも対象になることがあります。

支給額について

 支給額の計算方法は、休業開始時賃金日額×支給日数×13%です。
 休業開始時日額は、休業の開始日前6か月間の賃金を180で割った金額です。
 支給日数は、最大28日です。

育児時短就業給付金

 2歳未満の子の育児のため時短勤務を開始した日前2年間に、被保険者であった期間が12か月あるひとで、条件により、時短勤務を終了した月もしくは子が2歳になる日の前日まで育児時短就業給付金をうけることができます。
 なお、育児休業の終了日から14日以内に時短勤務を開始していないといけませんが、時短勤務の開始日前2年間に賃金の支払いがあった日が11日以上もしくは80時間以上あった月が12か月あるひとも対象になります。
※ 被保険者であった期間とは、賃金の支払い対象となった日数が11日以上あった月を数えます。疾病や傷病などが理由で賃金の支払いが無かった日は、日数に含むことができる可能性があります。
※ 支給対象月の初日から末日まで被保険者でないと、支給の対象になりません。

  • 時短勤務について
     1週間あたりの所定労働時間もしくは所定労働日数を変更することや、短時間正社員やパートタイム労働者に転換することで「育児時短就業」と取り扱われます。
     時短したときの所定労働時間に上限や下限はありませんが、1週間あたりの所定労働日数が20時間を下回る場合は、雇用保険の被保険者資格を喪失することになり、育児時短就業給付金の対象外になるので注意してください(子が就学するまでに1週間の所定労働日数が20時間以上になることが就業規則などで確認できる場合を除く)。

支給額について(令和8年3月時点)

 支給対象月に支払われた賃金額に応じて、つぎのように計算されます。

  • 時短勤務開始時(もしくは育児休業開始時)の賃金月額の90%以上のとき
    支給対象月に支払われた賃金額×10%
  • 時短勤務開始時(もしくは育児休業開始時)の賃金月額の90%超~100%未満のとき
    支給対象月に支払われた賃金額×調整後の支給率
    ※ 調整後の支給率
      (9,000×(支給対象月の賃金額×100分の時短勤務開始時の賃金月額)ー90)×100分の1
      厚生労働省ホームページに早見表が掲載されていることがあります。
    例)賃金月額が20万円のひとが、支給対象月の賃金が19万円であったときの支給額
     (9,000×(190,000×100分の200,000)ー90)×100分の1≒4.74%
       190,000円×4.74%=9,006円
  • 賃金月額とは、時短勤務開始前(もしくは育児休業開始前)直近6か月間の賃金(賃金を支払う対象が11日以上もしくは80時間以上あった月のみ)の総額を180で割った金額に30を乗じたものです。

※ 支給対象月に支払われた賃金額が471,393円以上の場合は支給がありません。

※ 支給額が2,411円を超えないときは、支給がありません。

育児休業給付の手続きについて

 育児休業給付をうけるためには、申請が必要です。
 会社(もしくは従業員本人)が、最初の支給対象月の初日から起算して4か月以内に、つぎの書類を公共事業安定所に提出もしくは電子申請しないといけません。
※ 出生時育児休業給付金は、子の出生日もしくは出産予定日のいずれか早い日から起算して8週間を経過する日の翌日の日の翌日から、2か月を経過する日の属する月末までに提出しないといけません。
※ 出生後育児休業給付金は、育児休業給付金または出生時育児休業給付金のとあわせて申請します。

  • 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金/出生後休業支援給付金申請書(様式第33号の5)」
  • 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
  • 子の出生日や分娩予定日が確認できる母子健康手帳や住民票の写しなど
  • 休業の開始日や終業日、休業した日数が確認できるもの(出勤簿や育児休業取扱通知書など)
  • 支給対象期間の賃金が確認できるもの(賃金台帳など)
  • 有期雇用されているひとは、雇用継続の予定を証明できる書類
「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書」の記入例です。ハローワークインターネットサービス(https://hoken.hellowork.mhlw.go.jp/static/ikuji_first.html)の様式を加工して作成しました。
「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書」の記入例です。ハローワークインターネットサービス(https://hoken.hellowork.mhlw.go.jp/static/ikuji_first.html)の様式を加工して作成しました。
「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書」の記入例です。ハローワークインターネットサービス(https://hoken.hellowork.mhlw.go.jp/static/ikuji_first.html)の様式を加工して作成しました。
「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書」の記入例です。ハローワークインターネットサービス(https://hoken.hellowork.mhlw.go.jp/static/ikuji_first.html)の様式を加工して作成しました。

おわりに

 今回は、高年齢雇用継続給付、介護休業給付、育児休業給付について紹介しました。
 給付があるのはのぞましいことですが、制度の内容や条件がたくさんあって複雑と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 従業員から相談を受け、給付の申請などにご不明な点がある場合は、ぜひ社会保険労務士までご相談ください。

2026.04.01